2016年 03月 04日
淡陶のタイル |
去年のことですが、お客様が1冊の本を貸して下さいました。
淡陶株式会社から発行された「日本のタイル文化」
タイルを取り巻く時代の流れや建築物まで詳しく記述されていて結構面白い。
タイルの歴史を辿れば紀元前まで遡り、それから中国の陶磁器技術の発展・海上交通の発達いろいろな要素が重なって広まり産業として発展していきます。
日本では、まだタイルとは呼ばれていないものの江戸初期には瀬戸・有田などで作られた敷瓦が寺や屋敷の装飾に使われていたようです。
明治の大きな時代の変動に伴い国内でも産業として本格的なタイルの生産が始まっていきます。
淡陶は既にあった硬質陶器(珉平焼)の技術や釉薬の研究などで国内でも優れたタイルを作っていましたが、どうしても輸入タイルのような品質の高いタイルが作れない。
そんな質の高いタイル作りを研究し成功させた1人が淡陶の青年でした。
この成功を期に数多くの製造会社が出現し、逆に輸出するようにまでなったのです。
淡陶は今も”ダントー”として盛業しています。
いつも思う当たり前の事だけど全てが繋がって今があるんだなぁと。
古いものを手にするとしみじみと実感します。
特に私が扱っている物が江戸期~昭和のものなので、物の背景を調べてみると文明開化や戦争という歴史の大きなターニングポイントの裏側で文明に追いつこうと必死に研究し生み出した人・不況にあえぎながらより技術を高めた物つくりをした人たちが見えてきます。
今では、当たり前にあるような物でも初めは誰かが研究や実験を重ね作られてきたのです。
古いものと向き合っていると そんな先人達の努力を忘れないでね、と言っているようにも思います。
by komamedou
| 2016-03-04 16:13
| 日々